大洗から茨城の復興料理「常陸鍋」

大洗から茨城の復興料理「常陸鍋」




大洗ホテルのシマちゃんです。


今日は調理実習室にて、宿泊施設青年会主催の料理勉強会に参加してきました。
内容は今年ではなく、来年春からのお料理です。


これまでの流れは青年会ブログにアップしております。
http://oaraiyado.blog81.fc2.com/blog-category-12.html


味は4種類。

いや〜、どれも本当に美味しかったです。
これでもまだ試作段階ですから、これからが益々楽しみです。


春のお鍋は「つみれ梅鍋」
スープはカツオ出汁に梅が入っており、
蓋を開けると爽やかな香りが漂います。


まずはスープ。
ふわっと口の中に梅の味が広がります。
まさに水戸です♪


そして野菜はキャベツ。
甘みがあり、つみれと一緒に食べると和風ロールキャベツのような感じ。
野菜王国「鉾田」や「常澄」の風景を思い浮かべます。


そのツミレには大場と梅、味噌が練り込んであり、
これだけでも商品になりそうなくらい絶品です。


そして魚はタイを使用しました。
淡泊な白身に梅が絡みますが、決して魚の味を邪魔しません。
優しい味は穏やかな春の海を思い浮かべます。
これは是非、お客様に届けたい料理です。



常陸鍋」。
常陸国とは「茨城県」になる前の名前です。
つまり、「茨城の鍋」という意味です。


茨城全体の、各エリアがそれぞれの特色に合わせた鍋を作り、
それらをひっくるめて「常陸鍋」にする事を前提に考えられております。


奥久慈なら常陸鍋 春の○○鍋。
北茨城なら、つくばなら、鹿島なら。
それぞれの特色を活かした新しい「常陸鍋」が生まれてくると思います。




また、「常陸鍋」の名前には明治時代に活躍した大横綱常陸山」とも関係しております。


常陸山は水戸に生まれ育った力士です。
療養を兼ねて大洗の宿にも良く来ていたそうで、
そこで「磯節」が上手なあんまさん(マッサージ師)を気に入り
巡業にも連れて行った事から「磯節」が全国に広まったとか♪
そんな深い歴史があります。




「ちゃんこ鍋」と「常陸鍋」


常陸山」のライバル「梅が谷」との数々の名勝負は、一気に相撲が国民的ブームとなります。
すると、「常陸山」が所属していた部屋には沢山の入門者が集まりまったそうです。


今までの配膳ではまかない切れない為に、常陸山は料理番に鍋を頼んだそうです。
栄養満点、沢山食べられる鍋はお相撲部屋では、その後も鍋料理が定番になりました。
また、常陸山は父のように慕う料理番の兄弟子を「父公(ちゃんこう)」と呼んでいた事から
「ちゃんこ鍋」が生まれました。


料理には必ず料理人の「おもてなし」の精神があります。
お客様の好み、季節、人数、目的に合わせた調理法があります。
相撲部屋で定番のちゃんこ鍋。
それは、常陸山が弟子たちを思った「おもてなし」精神から生まれたものです。


常陸鍋」にも多くのお客様に茨城の味を伝えたいという思いが込められております。



そして「食による復興」という願いも有ります。


原発事故に伴う風評被害では、生産者達も非常に苦しい思いをされております。
いくら安全が証明されても、お客様の不安を取り除く事はそう簡単では有りません。


それには、お客様が想像する以上の「美味しさ」と、「食べて健康」を伝える事が必要です。
そして「お客様の不安を食欲が打ち消す」事こそが風評被害を払しょくする答えだと考えております。


そしてそれが流行れば、私達だけではなく、生産者や交通機関、飲食店やお土産屋さん、
工場、印刷、さまざまな分野で経済が活性し、みんなが笑顔になると思います。


食の天国「常陸国」の旨味がいっぱい詰まり、それが凝縮された茨城の鍋。
常陸鍋は「茨城の復興」に繋がる料理になると思います。